このほか、軽い組織では会議や正式な場における指示、報告など公式的な指揮・命令系統を通じたコミュニケーションが活発であるが、重い組織ほど、これら「タテ」の公式ルートではなく、インフォーマルなコミュニケーションを通じて仕事を進めようという力が常に働くことが明らかになった。

たとえば、喫煙所や給湯室などでの会話を通じて補完しないと、仕事に必要な情報が十分に得られない。あるいは飲み会に参加した人だけが常に重要な情報を得ている――。このように、公式の会議やメールでは全体像がわからず、周辺から情報をかき集めてやっと合点がいくような組織ほど劣化が進み、きわめて重くなっているといえる。

社内で「仲間」を増やすと、それ以上に足を引っ張る人が増える
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社内で「仲間」を増やすと、それ以上に足を引っ張る人が増える

社内で個人的なネットワークや情報源が増えることは一見メリットに思える。しかし調査によると、実はそれ以上のデメリットがつきまとうという意外な結果が出た。

図を見てほしい。組織内に知人の数が増えると業務を遂行するうえでの「支援者」数は確かに増える。ところが、業務遂行の際に説得、根回ししなければならない「説得者」の数はそれを上回る勢いで増えていくのだ。

知り合いや顔見知りが多いと普通、目上の人や同僚からアドバイスや手助けを受けやすくなるだろう。しかし、そのような状況では、事前に話を通しておかねばならない「関係者」は、それ以上に増えていく。われわれの調査によれば、知人の数は組織の規模に比例して多くなる。つまり、知り合いが増えることは、単に個人的な知り合いが増えるというよりも、むしろ仕事のうえで関係がある人が社内に増えて、その結果、組織内部での調整に無駄に手間がかかってしまうことを意味するのだ。