立教大が力を伸ばす理由

「化粧品、雑貨、トイレタリー、食品などの日用品メーカーの主ターゲットは女性。それだけに、女性を積極的に採用し、女性が働きやすく昇進しやすい傾向にあります」(海老原氏)

例えば、花王は、社員の約半数が女性で、資生堂も「客の9割、社員の8割が女性」だ。また、資生堂は「1人採用」の全国各地の国私立大学が46校もある。北は小樽商科大から南は福岡工業大までバラエティー豊かだ。

「社員の多様性を尊重し、ダイバーシティを推進している資生堂らしい採用方針です」(溝上氏)

一方、サービス業のJTBグループでは、2位の立教大が力を伸ばしている。同大学には観光学部(前身は社会学部観光学科)があり、学生の多くは受験段階から旅行業界を志望。仕事に生かせる勉強ができるのだ。さらに「06年に新設された経営学部も早慶に次ぐ偏差値で、優れた人材を企業に輩出すると高評価を受けている。『ビジネス・リーダーシップ・プログラム』といって、企業と提携して企業の課題解決などに取り組むプログラムを大学1年生のときから実施するなど、人材育成に注力しています」(溝上氏)。

有名大学生が殺到する、外資系コンサルの魅力

15年12月、新人社員の過労死問題で大きな批判を受けた大手広告代理店の電通。今春、就職した人数が最も多かったのは慶應大だった。2位の早稲田大(21人)に比べ38人と突出。例年、慶應大卒が多いが、17年に就任した慶應大卒の新社長の存在が今後の採用にどんな影響を及ぼすのか注目される。

出版メディアも早慶が強い。講談社、集英社とも早稲田大と慶應大がトップで、同数の卒業生を送り込んでいる。

一方、情報通信のNTTデータや、外資系コンサルティングのアクセンチュアでは、早稲田大は慶應大を上回る人数となった。

「東京大、京都大などの学生も志望することが多い外資系コンサルの魅力は給料の高さだけでなく、日系の大手企業に比べ、短期間で多くの仕事を経験してスキルアップでき、転職に有利だということもあります。例えば、アクセンチュアでは売上高の7~8%を人材育成に投じて、入社後約3年で一人前に鍛え上げる手法を持っていると言われています」(溝上氏)

なお、量販店のニトリは、本社のある北海道の最難関・北海道大のほか、大阪大、九州大など地方の旧帝大出身の学生の比率が高い。

海老原嗣生
雇用ジャーナリスト
1964年生まれ。人材マネジメント雑誌「Works」編集長などを経て、人事コンサルティング会社「ニッチモ」設立。
 

溝上憲文
人事ジャーナリスト
1958年生まれ。月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。