女性の満足度が群を抜く
注目したいのは女性評価の突出ぶりだ。満足度を男女別にみると、男性(横軸)ではびっくりドンキーやモスバーガーの評価のほうがリンガーハットより高い。だが女性の満足度(縦軸)ではリンガーハットが突出している(図表2)。
満足度だけではない。JCSIの主要指標である6つの指標を男女別にみると、リンガーハットはすべての項目で男性より女性が高評価である。男女別の評価差が最も大きい項目は、リピート意向をあらわす「ロイヤルティ」で、次いで「顧客満足」、金額と手間暇のコストパフォーマンスを意味する「知覚価値」である(図表3)。
なぜ女性にウケているのか。JCSIに寄せられたコメントを分析してみると、実に半数近い女性回答者が「野菜、健康、栄養」に関連するキーワードを記入していることがわかる(図表4)。任意記述でありながら、回答者の半数が同類のコメントを異口同音に記入するということは珍しい。「野菜が手軽に取れる飲食店」というコンセプトが、女性に浸透している証左である。
「野菜」の次に多かったコメントは「手頃、コスパ」で、次いで「麺増量・ボリューム」だった。「ボリュームが特に良かった、優れている」と感じた比率を24社でみてみると、リンガーハットがダントツの1位である。
「麺増量」を評価する女性客
それではどんなメニューが評価されているのか。リンガーハットには麺のない「野菜たっぷり食べるスープ」や、小さめサイズの「ミドルちゃんぽん」など、500kcal台のメニューがある。だが女性が評価しているのは「麺増量」なのだ。
『麺2倍まで大盛りが無料でできる(福岡・女性・20代)』
『いつも麺増量がサービスであることがすばらしい。野菜が高い時期でも、たくさん入っているところも良いなと感じます(東京・50代・女性)』
この「麺増量」に関するコメント記入割合は、男性より女性のほうが多いのである。ちなみに約300人の回答者のうち「小盛のメニューがある」というコメントは男性2人のみで、女性のコメントは皆無だった。
女性のコメント記入者のうち、「麺増量」の記入者を「ガッツリ派」、「野菜、健康、栄養」を「ヘルシー派」と分類し、JCSIの6指標の評価をみてみよう。どちらも女性全体の評価平均より高いことがわかる(図表5)。驚くべきは「ガッツリ派」の評価の高さだ。
「ガッツリ派」の満足度(85.2点)がどのくらい高いか、2017年度に調査した約400企業・ブランドの「顧客満足」調査結果と比べてみよう(図表6)。リンガーハットの85.2点を上回るのは、1位の宝塚歌劇団(87.2点)、2位の劇団四季(86.8点)というエンターテインメントの最高峰だ。一方のリンガーハットは日常的な飲食業。「ガッツリ派」による評価の高さはホンモノである。