「女性ホルモン」に関する情報には、根拠のない「俗説」や「都市伝説」が紛れ込んでいることが少なくありません。自分の体を守るためには、間違った情報を退けることが必要です。雑誌「プレジデントウーマン」では、産婦人科医の宋美玄さんに解説をお願いしました――。

バリバリ働いていると、男性ホルモンが増える?

「毎日バリバリ働いていると、男性ホルモンが増えてヒゲが生えてくる」「セックスをすると、女性ホルモンが出てキレイになる」……。

こうしたホルモンにまつわる情報は定説のように広まっていますが、実は科学的根拠は一切ありません。

毎日バリバリ働いたからといって男性ホルモンは増えませんし、いくらセックスをしても女性ホルモンも増えません。両者に医学的な因果関係はないのです。

確かに、女性の体内では男性ホルモンが影響し、ヒゲが生える、体毛が濃くなるといった身体的な変調が起こることもあります。しかし、そのほとんどは病気が原因。例えば摂食障害のひとつである「神経性食思不振症」では、体重の減少により女性ホルモンが減ることで男性ホルモンが増え、ヒゲのようなものが生えてくるのです。

「プレ更年期」という誤解

また、最近は生理の期間が短くなったり、出血量が減ったりすると「プレ更年期かも……」と悩む女性が増えています。

そもそも更年期とは、女性ホルモンが急激に減ることによってさまざまな症状が起こりやすい、閉経前後の数年間のこと。日本人女性の閉経の平均年齢は50.5歳で、40歳未満で閉経すると「早発閉経」と診断されます。つまり、更年期に「プレ」も「プチ」もないのです。月経の変調はちょっとしたストレスで生じることも。それは本物の「更年期障害」とは別物です。