普段仕事をしていてスムーズに進まない、上手くいかないと感じることはないだろうか。もっと段取り上手になれば仕事ははかどるし、上司の評価も上がるはず。生産性を限りなく高めるスーパー段取り術を脳科学の見地から解明しよう!

仕事の優先順位を、適切に付けられるか

脳科学者の池谷裕二氏は、段取りと関連が強い脳の部位は前頭前野の「後部中前頭回(こうぶちゅうぜんとうかい)」と、大脳の深いところに位置する「大脳基底核」との2カ所があると言う。

東京大学薬学部教授 池谷裕二氏

「物事を効率的に進めるために過去の経験や今の状況から優先順位を適切に判断するのが後部中前頭回で、ここはいわば計画を立てる部位です。その計画を指示通り進行させる実行系の部位が大脳基底核。人間が段取りを考え、実行しているときは、脳の中でその2つの部分が活性化しているのです」

こうして段取りと脳の部位との関連性を把握するだけで、仕事の段取りがよくなるわけではない。要は、仕事の段取りとは抱えているタスクに優先順位を適切に付けられて、その通りに実行できるかどうかだ。だからか、1度にたくさんの仕事が殺到するようなときは、混乱してしまいがちで、優先順位が正しく付けられなくなる。結果、要領を得ずに仕事の生産性が低くなってしまうのだ。

池谷氏は「それはワーキングメモリの問題です」と指摘する。ワーキングメモリとは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力のことだ。

「ワーキングメモリの容量には限界があり、人間が頭の中で同時に処理できることは7個と言われています。実際は個人差があり、7個プラスマイナス2個といったところでしょう」

あれもこれもやらなければとバタバタしているときや、どうしても段取りが付かず困っているときは、やらなければならないことが7個を超えているかもしれないと疑うといい。対策としては、まず取り組むべきことを目に見える形にするのが定石と池谷氏は助言する。

▼段取りには「計画」と「実行」を司る2つの部位が関与
【計画】後部中前頭回
計画を立てる部位。意味の処理やカテゴリーの認識に関わり、損傷すると言語や計算の能力に障害が出ると言われる。
【実行】大脳基底核
実行に関わる部位。自分の意思による「随意運動」と密接に関わり、損傷すると意思にかかわらず手足が動くなどの症状が出ると言われる。
●7個以上のタスクがあると忙しいと感じる
同時に物事を記憶・処理する「ワーキングメモリ」の容量は個人差もあるが大体7個
→すべてのタスクを紙に書き出す!
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