ギャラリーは自分を高め、人脈を広げる社交場である

ギャラリスト(画商・美術商)はアーティストを発掘し、社会との架け橋となる存在です。

PERROTIN(ペロタン)パートナー 中島悦子氏●ギャラリーペロタン東京 東京都港区六本木6-6-9

アーティストには世間との関わりが不得手な人も多いので、ギャラリストがプロデューサーとして資金を調達したり市場の方向性に沿った創作に導くなど、アーティストの活動をサポートするわけです。ギャラリストとの二人三脚が順調に続くほど、アーティストが成功する可能性は高いと言えるでしょう。

ギャラリーは作品を展示販売していますが、必ずしも購買するお客様だけに向けたものではありません。多くの人に作品を見てもらいそのアーティストを知ってもらうことが、ファンの裾野を広げ作品の価値を高めます。ですから私たちは作品を見ていただくだけでも大歓迎なのです。

美術館と違って解説のプレートやガイドブックはありませんが、そこは是非ギャラリストに聞いてください。現代アートにはアーティストの強いメッセージが込められていますから、作品の背景や意図がわかるとより楽しめると思います。

またギャラリーは、美術に造形の深い専門家や知識人、富裕層のコレクター、一流のビジネスパーソンたちが集う社交場でもあります。そうした集いに参加することは、自分を高め人脈を広げるのに役立ちます。

ぜひギャラリーに足を運んでみてください。その体験が皆さんの新しい知と感性の扉を開くことになるでしょう。

山口 周(やまぐち・しゅう)
コーン・フェリー・ヘイグループ シニア クライアント パートナー
1970年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン コンサルティング・グループ等を経て、コーン・フェリー・ヘイグループに参画。
 

遠山正道(とおやま・まさみち)
スマイルズ 代表取締役社長
1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、三菱商事に入社。2000年スマイルズ設立。スープ専門店「Soup Stock Tokyo」のほか、ネクタイ専門店「giraffe」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」などを展開。
 

秋元雄史(あきもと・ゆうじ)
東京藝術大学大学美術館 館長
東京藝術大学美術学部絵画科を卒業。ベネッセアートサイト直島や国吉康雄美術館で企画・運営に携わった後、地中美術館館長、金沢21世紀美術館館長などを経て現職。
 

前澤友作(まえざわ・ゆうさく)
スタートトゥデイ代表取締役社長
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」運営会社の社長であり、世界的なアートコレクター。公益財団法人現代芸術振興財団会長。2017年、フランス芸術文化勲章オフィシエを受勲した。
 

山本豊津(やまもと・ほず)
東京画廊 代表取締役社長
1948年、東京都生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。全国美術商連合会常務理事。著書に『コレクションと資本主義』(共著)ほか
 

中島悦子(なかじま・えつこ)
PERROTIN(ペロタン)パートナー
アジア太平洋地区CEO。フランス・パリに生まれ育ち、ソルボンヌで美術史を修了。カルティエ財団在職時に村上隆や会田誠と出会い、現代アートの世界に関わる。2002年ペロタンに入社。香港やソウルでギャラリーを設立。エマニュエル・ペロタンが、18年初めて世界で3人のパートナーを指名したうちの1人。
 
(編集・構成=渡辺一朗 聞き手=山口雅之 撮影=山本祐之、宇佐美雅浩)
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