【秋元】作家との関係は?

【前澤】僕は人そのものより、やっぱり作品を見ますね。仲のいいアーティストもいますが、深いところで意気投合できる気はしません。みんな変な人だから(笑)。

【秋元】美術はアーティストだけが作るのではなく、コレクターも購入を通じて影響を与えています。歴代蒐集家の存在は、前澤さんにはどう映りますか?

【前澤】その人のコレクションだけを取り上げて論じることには興味がないんです。その人の生きざまの中でアートがどういう存在であったかを見たいし、自分もそうありたいと思っています。

【秋元】名だたる蒐集家で面白い仕事をしてきた人の中には、コレクションが自身の哲学的な反映であると考えている人もいます。前澤さんにはご自身の思想や哲学が反映するような、美術との関わり方をしていただけたら面白いだろうと思うんですね。

【前澤】がんばります。

前澤氏の蒐集品。(左上)蟹絵皿は北大路魯山人の作、茶碗は安土桃山時代の鼠志野。(右上)彫刻はウィレム・デ・クーニングの作品。壁にはアンディ・ウォーホル(右下)やクリストファー・ウール(左下)の作品が掛かる。