新人の出退勤、勝手に制限するような管理職は外す
とはいえ、社長がいくらビジョンを打ち出したところで、現場が付いてこなければ意味がない。特に、現場と経営の板挟みになる中間管理職からのクレームはなかったのだろうか。
「もうそれはたくさんありました。管理職の意識改革に3年くらいかかったと思います。例えば新人の出社時刻を勝手に早めたり、定時を過ぎても連絡を強制したりするマネージャーがいました。そういったことを注意をしても改めない場合は、管理職から外れてもらうこともありました。自分がそう働きたいのはわかるけれども、人に押し付けるな、と。営業には『売り上げが下がります』と言わたり、『サイボウズは子持ち社員ばかり優遇して、独身にツケが回ってきています』と言われたりしました」
どんな「不満」も「意見」としてとらえる
「どの不満についても、一つの意見として聞きました。その上で、『じゃあどうしたらいい?』と解決策を聞くんです。不満の背景には『こうしたい』という理想がある。だからまず理想を聞き出します」
「お互いの理想と現実を確認するとその差分が分かります。何があっても出し惜しみせずに双方の理想を語り、合意点を見つけることが大切です。このサイクルを回していくと、どんどん本質的な課題と解決策が見えてきます。不満としてだけ聞くと組織が成長する機会を失ってしまいます。最後は決める人(役職者)が決めればそれに従う。そこは一般的な組織のルールどおりですが、それまでに言いたいことをみんなで徹底的に語ります」
労働時間や働き方が多様なサイボウズでは、「市場性」と呼ぶ評価指標を置いている。市場性というのは「その人の転職市場での評価」のこと。サイボウズには毎年3000人ほどの応募があるが、その情報や退職者へのヒアリングをもとに市場評価を算出。この数字をもとに年棒を決めている。