いつもイライラ・ギスギス……。上司や経営者に進言しても何も変わらない。職場の「負の構造」が社員の攻撃的反応を引き起こす。

生産性や品質低下を招く会社の“タコツボ化”

不公平な人事や違法な長時間労働、さらにパワハラなどによって会社組織が崩壊するリスクは少なくありません。ひと昔前であれば、直属長の頭越しに役員に直訴したわけですが、今の若手社員は、いきなりインターネットに不満や不正の実態を書き込みます。そうなると、会社を揺るがす事態になります。

お互いに関わり合えない、協力し合えない、上司と部下の意思疎通がとれないという「不機嫌な職場」が増えていることが大きな要因として挙げられます。そんなギスギスした環境では、楽しく働くことはできません。こうした職場では、社員は常にストレスを感じています。それは、個人にとっても会社にとっても大きなリスクです。

おそらく、責任感の強い人ほど、誰にも相談できず悩みを抱え込み、精神的、肉体的に追い込まれてしまうでしょう。同時に社員間の風通しの悪さが、仕事の調整力や柔軟な対応力を削ぎ、生産性や品質の低下を招いてしまいかねません。つまり、会社組織が“タコツボ化”しているのです。

そこには次のような心理的メカニズムが働いています。まず、閉じた働き方とノルマへの過度のプレッシャーがあります。また、つながりをつくるイベントや機会が減っているという状況も存在します。社員はやるべきことを毎日ひたすらこなすだけで、声をかけてもらえず、相談もできません。結果として、自分の殻に閉じこもり、防御的かつ攻撃的な反応につながっていくのです。