対処方法

組織にとっての人材育成の目標は何かといえば、新人を短期間で一人前の戦力にすることだ。しかし、どこまで教育すれば一人前なのか、到達点を線引きできている会社はあまりない。「あいつはまだ半人前」と評価を下す上司はいても、一人前がどういうレベルなのかを定義できている上司は少ない。「このレベルになったら1人で営業に出せる」という基準が明確ではないわけだ。

新人教育に関しては、まず身に付けてほしい最低限のラインを明確にすることが重要である。さらに業務の内容に優先順位を付けてやり、上司が順番に教えてゆく。何から身に付けるべきか、順位が決められるのは一通りの仕事がわかっている人だけで、新人はどこから手を付ければよいのかすらわからないからだ。

そこで、「この知識レベルまで知っていれば初回訪問ができる」と線引きをしてやれば、実践レベルでの取り組みができる。先輩営業マンを同行させたり、営業マニュアルをひたすら読ませて勉強させるより、はるかに効率的に覚えられる。

新人を一人前にするだけでなく、中堅のレベルアップ教育も重要だ。よく活用されるのが研修やセミナーだが、前述のように流行に飛びついても成果は見込めない。ではどうしたらよいか。

まず営業部隊の中でここが一番弱いという弱点や課題を見つけ出す。次になぜ弱いのか、どうしたら克服できるのかをしっかり分析して、それを解決するための研修を実施する。これを私たちは、「課題解決研修」と呼ぶ。極端にいえば、課題が見つけられなければ、研修をやる必要などない。

この研修では、その後のフォローアップが非常に重要になる。研修の最後に課題解決に向けたロードマップ付きの目標を設定し、その通りに実践できているかどうか、半年や3カ月など期間を決めてフォローする。営業部内で定期的にフォローアップのための会議を開いたり、上司が営業活動に同行し、学んだことを実行しているかどうかをチェックするべきだろう。

研修はそれだけでは成果を生まない。成果が出るのはその後の実践だ。しかし、都合のいい部分しか実行しない営業マンが多い。だからこそ、徹底的なフォローが教育効果を高めるのだ。

(図表データ=カーナープロダクト調べ)