ノルマや成果主義の必要性を、管理職より一般営業職のほうが強く感じているという意外なアンケート結果が出た。仕事が数字で明確に評価されるのが営業という仕事の面白さであり、数値目標を課されることにやる気を感じる営業マンも少なくない。それが結果に結びつかないなら、数字を扱う営業マネジャーのやり方、やらせ方に問題があるのだ。

まずノルマという言葉は使うべきではない。「全社で50億円だから東京支店は20億円」という調子で経営側、いわば天から降ってくるのがノルマである。高度成長期のような需要増の時代は、ある程度努力すれば誰でも売れ、「これだけやれ」というノルマが原動力になっていた。ところが今は、数字を取ろうと思っても、取れないものは取れない時代である。今どきノルマで縛るのは、上司の無責任さの表れでしかない。

ノルマの代わりに使うべき言葉は、「予算」である。予算はノルマのように一方的に上から押し付けられるのではなく、本来は会社と支店、あるいは会社と営業マンの間で結ばれた契約というべきものだ。話し合ったうえで数字を決め、その達成に向けて互いの努力を約束する双務契約なので、納得性が高い。

しかし現実には契約という認識を持って予算を立てている会社はほとんどなく、結局、ノルマと同じような意味で使われている。ゆえに予算の数字が現実と乖離して、結局、常に未達に終わるのだ。

予算は頑張れば手の届く範囲内に設定されるべきである。その基準は7割の営業マンが達成できるかどうか、だ。よく言われることだが、組織というものは2・6・2の割合で優秀な度合いが分かれる。営業部隊でいえば、2割が教えなくても売れる優秀な人材、6割が育てれば力を発揮できる人材、2割が育てても教えても売れない人材。営業力強化とは、2・6・2のうち、ひと握りのトップセールスではなく、育てれば売れる「6」の部分を強化することだ。

真ん中の「6」に合わせて適正に予算を設定すれば、トップの2と6の営業マンのうち10%が不調でも7割は達成ができる。7割が達成できなければ、それは予算の立て方が悪いと考えてよい。