優秀な人材が入ってくれば売り上げがドンと伸び、その人材が配転になると出先の支店の売り上げは伸びるが、元の支店はガタ落ちに。このように個人の営業マンに売り上げがついて回る会社ほど、「営業はセンスだ」「人材の強化などできない」と言いわけする。

本来、個人に頼るのであれば、徹底的に個人を鍛えるか、天才を採用するしかない。しかし個人に頼っている会社ほど、個人を育てたり、鍛えたりしない傾向が強く、では天才が採れるかといえば、育成を放ったらかしにする会社は不人気なのでいい人材もこない。“属人的”な営業組織が陥りやすい悪循環である。

アンケート結果を見ると、人材育成に熱心とはいえない会社が半数以上を占める。実際、「会社は学校ではないから育ててもらおうなんて虫がよすぎる」と言う経営者もいるが、これは大きな間違いである。できる人材ばかりを採用することなど不可能なのだから、売り上げを上げるためには人材育成の仕組みは絶対に必要なのだ。

一方で人材育成の必要性を認識して研修を取り入れたのに、やめてしまう会社も多く、「成果に結びつかなかったから」という答えがよく返ってくる。成果に結びつかない理由は、それぞれの組織が抱える問題に対応した研修ではなく、画一的な研修を取り入れるからだ。コーチングが流行ればコーチング研修、ヒアリングが流行ればヒアリング研修を取り入れる。確かにコーチングもヒアリングも学んだほうがいいには違いないが、日々の業務や課題解決に直結するわけではない。まず、組織内の課題を見つけて、ピンポイントで解決に役立つ研修をセレクトしなければ、成果は見込めない。