営業コンサルタントとして、さまざまな会社の業務習慣を見てきたが、正直、営業に役立つと思えるシステムにはほとんど出合ったことがない。その代表が営業日報である。

営業日報を書くのに1時間かけようが2時間かけようが、もし、その労力を上回る成果が得られるなら、営業マンにとって時間をかける意味がある。しかし、アンケートの結果を見てもわかるように、営業マンが書いた日報にきちんとリアクションをしている上司自体が非常に少なく、日報の活用度が低い様子がうかがえる。

では何のために書かせているかといえば、ただの管理ツールである場合が少なくない。仕事をサボっていないかどうか、顧客をきちんと回っているかどうか、営業マンを監視するために日報を課しているのだ。嘘でもきちんとした仕事ぶりを書いておけば、「おお、やっているな」と上司は満足して終わり。返信をする場合でも、「読みました。頑張ってください」程度だ。

日報が活用されているかどうかの判断基準は、日報の内容に対して上司が具体的にアドバイスやストロークを出しているかどうかだ。部下が上げてきた問題点や課題を分析し、「この案件に関してはこうしたらどうか」「今の進捗レベルはこうだからこうしよう」「この会社には自分も同行しよう」などと、上司がピンポイントのアドバイスをしてはじめて、日報を書く価値がある。

日報が最たる例だが、ほかにも何となくやっているだけの業務習慣というのはある。毎日である必要がないのに毎日やっている。まとめてやれるはずのことをばらばらに分けてやっている――。どんどん積み重なるこんな無駄な業務が、最適化されないまま組織の中に残り、非効率な形で多忙な営業マンの時間を奪う原因になっているというケースが多いのだ。