対処方法

予算を達成できない会社に共通しているのは、予算設定に根拠がないことだ。数字の根拠を示さずに、「これをやらなければ会社が生き残れない」とか「競合に勝てない」と精神論のみで無茶な予算を課せられても、現場は困惑するだけで達成しようという動きは起こらない。

根拠ある予算を立てるためには、予算は契約であるという認識に基づき、「これだけやってほしい」「これならできる」というふうに会社と現場が議論して、納得したうえで判を押すというプロセスが必要である。通常、営業マンは予算設定そのものには関与しないが、仮に設定された予算の根拠を示したうえで、納得させることは可能なはずだ。

まず、来年度の予算計画を立てる際に、上司が営業マンと個別に面談を行うことだ。今期の営業成績を振り返ってから、来期予算を提示し、その根拠を説明する。例えば今期6000万円から来期8000万円になるとしたら、それはなぜか、どうしてその営業マンならできると考えたのか、論理的に伝えるのだ。

このプロセスを踏まえたうえで、部下に意見を言わせる。不満があれば部下にも予算設定させてみて、その根拠を言わせてもいい。最終目的は、部下の意見を呑むのではなく、上司が部下を説得し、納得させることだ。それでも揉み合うのは、議論の過程で「こういう問題があって営業時間が取れない」とか「会社がこうしてくれれば予算達成できる」といった意見を引き出すという意味合いも含まれている。予算設定を通して、営業マンの課題が見えてくるのである。

解決方法を一緒に考え、営業マンが納得したらフィックスする。「来期はこれを頑張ろう」という予算のマインドセットを期末までに済ませ、気分一新して来期のスタートを切ることを心がけたい。

(図表データ=カーナープロダクト調べ)