疑惑の加計学園に93億円もの血税が使われた

具体的に社説を見ていこう。まずは朝日社説。

「通常国会の会期末まで1週間を切った。6月下旬からの延長国会では、政権・与党のおごりが際立っている」と書き出し、「長時間労働を招きかねない働き方改革関連法を強行成立させ、問題だらけの『カジノ法案』や参院6増の公職選挙法改正案も、ひたすら成立に向け突き進んでいる」と指摘する。

その後で森友・加計疑惑について論じていく。

朝日社説の興味深いのは、愛媛県議会の決議を次のように取り上げているくだりである。

「加計学園の獣医学部新設問題では、愛媛県議会が先週、学園に説明責任を果たすよう求める決議を全会一致で採択した」
「県は、学園に約93億円を補助する今治市に対し、約31億円を支援する。巨額の公金が投じられる学園に、自ら疑念を晴らすよう求めた決議は、国会にとってもひとごとではない」

やはり忘れてならないのは血税である。朝日社説によれば、愛媛県の加計学園への補助金は31億円、今治市のそれは62億円ということになる。合わせて93億円もの国民、県民、市民の税金が、事前のしっかりした検証もなく、疑惑の渦中にある加計学園に費やされたわけである。何たることか。開いた口がふさがらない。

加計理事長を参考人招致せよ

さらに朝日社説は批判を呼んだ加計学園のあの記者会見に言及する。

「学園の加計孝太郎理事長は先月、30分足らずのおざなりな記者会見を開いただけで、再度の会見要請を拒んでいる。ただ、加計氏は会見で、国会招致の要請を「お待ちしています」とも述べた。ならば、国会に呼んで疑念をただすのが筋であろう。

前述したように国会に森友・加計疑惑を追及する特別委員会を早急に設け、せめて加計理事長を参考人として呼ぶべきである。それができないのは野党の責任というよりも、いまの政治がすべて「安倍1強」のもとに牛耳られているからである。

朝日社説はこう書いていく。

「焦点は、愛媛県の文書に記された2015年2月の安倍首相と加計氏の面会だ。首相は否定し、加計氏も学園の事務局長による作り話だと釈明している」
「だが、この言い分は疑問だらけだ」
「獣医学部新設は面会を前提に学園と政府、県などとの間で調整が進み、その流れは県の文書に詳述されている。面会がなければ、つじつまが合わない。学園側が自分との面会を捏造したと主張しているのに、不快感を示すことすらしない首相の対応も不自然極まりない」

これまで朝日社説が指摘してきたことをうまく整理してまとめている。あらためて指摘されると、読者は加計学園疑惑が何も解明されていないことに気付かされる。