佐川氏の再証人喚問は当然だ

次に朝日社説は森友学園の疑惑に触れる。

「森友学園との国有地取引をめぐっては、決裁文書の改ざんなどに関する財務省の内部調査の結果、佐川宣寿・前理財局長の証人喚問での説明に疑問が生じている」
「しかし、自民党は、野党が求める偽証罪での告発に同意せず、佐川氏の再喚問にも応じていない。財務省内のやりとりを『最高裁まで争う覚悟で非公表とする』などと記された新文書も明るみに出たが、政府は野党の調査要求に無視を決め込んでいる」

せっかく佐川氏の証人喚問をやってもそれが疑惑の解明にまったく役に立っていない。佐川氏の証人喚問と財務省の内部調査に食い違いが出てき、それが佐川氏の説明に疑問や偽証疑いを生じさせたというのだから、佐川氏を再び証人喚問して質すのは当然である。

財務省の新文書にも驚かされる。最後に朝日社説はこう締めくくっている。

「獣医学部新設に首相と加計氏の親密な関係が影響してはいなかったか。なぜ財務省は国有地を格安で売却し、公文書を改ざんしてまで何を隠そうとしたのか。問題の核心は、いずれも未解明のままだ。加計問題も森友問題も決して終わっていない」

森友・加計疑惑に対し、追及の手を決して緩めてはならないのである。

国会が安倍政権に押し切られている

一方、東京社説は森友学園疑惑について重点的に筆を進め、まずこう指摘する。

「一連の森友問題をめぐっては、国有地の大幅な値引き売却に対する背任や決裁文書を改ざんした虚偽有印公文書作成などで財務省幹部ら三十八人が告発された」
「しかし、大阪地検特捜部は五月末に嫌疑不十分や嫌疑なしで全員を不起訴とした」

さらに「財務省が六月初めに公表した調査報告では、当時理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官が『政治家名が記載された文書を外に出すべきではない』と発言し改ざんを主導▽安倍晋三首相が夫妻の関与を全面否定した国会答弁を契機に、森友側との交渉記録を廃棄した―と佐川氏に責任を押し付けた」とも指摘する。

そのうえで主張する。

「佐川氏がなぜ改ざんしたのかという核心については『そこが分かれば苦労しない』(麻生太郎財務相)と述べ、まるでひとごとのような態度で終わらせてしまった」
「不処分への不満から検察審査会への審査申し立てが相次ぎ、検察判断への期待は残っている」
「とはいえ国会こそが率先して真相究明に臨むべきである。何より佐川氏の虚偽答弁により国会は一年余りもだまされ続けた当事者なのである」

今後、検察審査会の審査がどうなるのか。大いに注目されるところである。

東京社説の「佐川氏の虚偽答弁で国会がだまされ続けた」との見方もその通りである。国会が数の論理で安倍政権に押し切られているから官僚の虚偽答弁がまかり通るのである。