離婚理由で最も多いのは昔も今も「性格の不一致」である。相思相愛で結婚した2人がなぜ別れてしまうのか。エッセイストの鳥居りんこさんは「『好事魔多し』で、出産やマイホーム購入といった慶事をきっかけに離婚するケースが少なくない」と話す。「性格の不一致」はどのように生まれるのか――。

離婚理由「性格の不一致」が発生するメカニズムとは?

離婚理由で最も多いものが「性格の不一致」である。

国の司法統計のうち「婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所」(2015年度)をみると、男女共に離婚理由の1位は「性格の不一致」となっている。

夫の離婚理由 上位5項目(複数回答)
1.性格が合わない 61.3%
2.その他 21.2%
3.精神的に虐待する 18.7%
4.家族・親族との折り合いがつかない 14.9%
5.異性関係 14.8%
妻の離婚理由 上位5項目(複数回答)
1.性格が合わない 40.5%
2.生活費を渡さない 28.3%
3.精神的に虐待する 25.6%
4.暴力を振るう 22.7%
5.異性関係 18.0%
▼人生の「慶事」直後があぶないワケ

通常、夫婦は暮らしを共にする。その日々のささいなやり取りの中に、お互いの価値観の差が出てくることがある。最初はその相違点をスルーできていても、徐々にそれらが積もり、「別れの予感」が高まり、やがて臨界点を突破したときに「離婚の決意」が固まるのだと思う。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/chipstudio)

「自分の人生にコイツは要らない!」。そう決断するまでに至った理由を一言で表現するには「性格の不一致」というしかない。

これは、お互いがこれからの人生を前向きに生きていく上で、相手を必要以上に傷つけずにすむため、大変有効かつ合理的な言葉である。

筆者は受験(小学校から大学まで)をする家庭の子育ての悩みや、夫婦関係のトラブルについても相談を受けている。その経験では、夫婦間にトラブルが起きる場合、皮肉にも「人生の慶事」とも言うべき幸福な瞬間の直後に、「性格の不一致」を理由とした離婚がしばしば勃発するように感じる。人生はつくづく分からないものである。まさに「好事魔多し」なのだ。

以下、「離婚」における「好事魔多し」を5つに分類してみる。