「夫・妻の出世」「子の合格」で関係がギクシャク
【4:出世・栄転なのになぜか離婚】
本来なら家族で喜べるはずの「出世」「栄転」が、夫婦の不仲を招くケースが以前よりも増えているように思えてならない。
例えば、夫が責任ある地位についたが、より多忙になり、家で一緒に過ごす時間が極端に減ってしまった。出世して肩書が大きくなったが、果たす責任も大きく、そのプレッシャーで夫が不機嫌がちになり、妻に当たり散らす。
最近では共働きの家庭が増えたことで、すれ違いが大きくなって離婚というパターンも目立つ。妻が仕事を続けるために夫の転勤に帯同しない、というだけでなく、妻の海外勤務に夫が帯同しない、といったケースも珍しくない。
共働きの場合、転居をともなう「栄転」では、それに帯同すれば配偶者はキャリアダウンになりかねない。配偶者のキャリアまで保証する会社はまれだ。どちらかが「自分に合わせることが愛情の証し」という意識でパートナーにその“印”を求めたならば、共働きが主流の現代では、「愛」は徐々にその印影をぼやかしていくだろう。
【5:わが子が受験合格でまさかの離婚】
意外に思われるかもしれないが、「受験が大成功」という場合でも、その先に「別れ」が忍び寄ることがある。
例えば、受験に対して非協力的だった夫が、わが子が難関校に合格した途端に豹変。“手柄”を横取りする言動を繰り返し、妻の冷ややかな対応を招く。または、一家を挙げての一大イベントと化した「受験」が成功した途端、家庭が“祭りの後”となって、空中分解する――。なぜ、こんな理不尽が起こるのか。おそらくこういうことではないだろうか。
子供を“かすがい”に、合格という共通目標を持って受験に挑んだ夫婦は、子供が無事合格して親離れを始めると、“かすがい”を失ってしまう。夫婦2人の新たな目標が分からなくなる。人間というものは何かが完了した時、心の中に隙間風が吹きやすいのかもしれない。
以上、夫婦の慶事にこそ、離婚の危機はあるという事例を5つ挙げてみた。
人生100年時代と言われる現代。結婚し、年月を重ねるごとに悲喜こもごものいろいろな出来事が生じる。それはどの夫婦も同じだ。だが、一生添い遂げる夫婦と、そうではない夫婦に分かれる。環境の変化が、夫婦の幸せに転ぶか、苦しみに転ぶか。それはお互いの小さな心がけ次第なのだろう。