結婚、出産、家購入で伴侶の「本質」が丸見えに
【1:結婚したと思ったら即離婚】
かつて「成田離婚」という言葉が流行った。本来ならば、幸せ絶頂のはずのハネムーン帰りの成田空港で「別れ」を選択する夫婦という意味だ。旅行中に配偶者への総合評価が急降下することが原因と言われているが、これはお互いの結婚に対する「夢」と「現実」のギャップによるものだろう。
尊敬できると信じて結婚したのに「シャワーのお湯が出ない」といった海外でのトラブルに対応できない夫に愛想を尽かすとか、買い物中毒のようにブランド品を買いあさる妻の消費行動に幻滅したとか、理由を聞けばそういうことだ。
夫婦関係に固定概念を抱いている人は意外に多い。例えば、「夫たる者、常に頼りがいのある人物でいなければならない」「妻たる者、やりくり上手でなければならない」といったものだ。それがクリアされないことで生じる「この相手とこれから先、やっていけるのか?」という不安を打破できないことが「性格の不一致」の端緒となる。
結婚するまで大抵のカップルは、仕事をしながら結婚準備を進めるため、かなり忙しくなり、ときには疲労困憊となる。そうした心の余裕のない生活の中で、大事なセレモニーである結婚披露宴の「引き出物」になにを選び、どんな色・形・文章の「招待状」にするのか。夫婦で価値観の相違が出ることがあるのだ。
加えて、籍を入れるまでは、衣食住のための資金調達、準備の段取り、環境の変化などで、「この人で本当に良いのか」という不安に陥りやすくなる。このためストレス耐性に弱いカップルは、すぐに「別れ」を選択することがあるのだろう。
【2:出産したのに即離婚】
「出産」はすばらしい慶事だが、実はここでも“魔”が潜んでいることがある。
最近、筆者は産婦人科の医師に「立ち合い出産で失神した夫に嫌気を起こし、妻が里帰り先から戻らず、そのまま離婚した」という話を聞いた。また「夫の『もう、出産後の妻を女として見られなくなった』という理由で離婚に至った」という話も聞いたことがある。
さらに筆者の知人の男性は「授乳中の妻は乳牛にしか見えない」と言い放ち、浮気。数年後に離婚したという事例があった。命がけで出産している女性からすれば、たまったものではない。これは男性の「父になる」という覚悟がうまく機能しなかったことが原因だと推測できる。
【3:マイホーム購入で即離婚】
「一国一城の主」という憧れは、今でも根強いものがある。マイホームは幸福の象徴ということだろう。ところが、「35年ローン」で購入したわが家であっても、すぐに肝心な“わが家”がなくなる、つまり家庭崩壊してしまうという悲劇が珍しくない。
新居を購入する前に、あれほど夫婦二人で夢を描き、貯金を頑張り、「どんな家にする?」と密接なコミュニケーションを図ってきたのに、現実にわが家を手にした途端に「別れ」が顔をのぞかせることがあるのだ。なぜ、そんな皮肉な目にあうのか。
理由はいくつかある。
「食後、夫が書斎に直行、子供は子供部屋に直行、妻がひとりリビングに取り残される」
「ローンの返済の負担が重すぎて鬱気味になる」
「(夫婦)どちらかが『汚すな! 傷をつけるな!』と新築物件での丁寧な暮らしぶりを主張し、相方がそのあまりの神経質ぶりについていけなくなる」
「実は相手に押し切られる形で決めた間取りや立地の物件で、住んだらやはり気に入らなかったと実感した」
憧れのマイホームというのは夫婦のエゴを引き出すには十分なもので、性格の不一致を生み出す「装置」と言えなくもない。家に限らず、自動車など何か大きな買い物をした後もこうした「歪み」が生じやすいといえるかもしれない。