決算をよく見せる「3つの方法」

次に、よい会社に見えるように決算をよくすることも可能です。そのためには、差し迫った期末の着地見込みを正確に計算して足りない売り上げを前倒ししたり、不要不急の支出を抑えたりします。さらに、年払いであれば3月に払わなくてはいけなかった各種保険を、月払いに変更することで、支払いの大部分を来期に回したり、含み益のある資産の売却も検討します。

これらの決算対策は、少なくとも3カ月前には取り掛かる必要があります。そのために月次決算を導入しましょう。なぜなら、月ごとの業績がきちんと把握できていれば、年度全体の見通しも正確につくからです。

3カ月前には要チェック!
▼決算を悪く見せる方法(節税)
・経営セーフティ共済加入

売掛金債権等が回収困難なときや業績不振の場合に貸し付けがうけられる。
・生命保険加入
経営者が加入する場合は、経営者の死亡・病気のリスク、経営者退職金、事業承継などに対応できる。
・予定していた固定資産の前倒し購入
中小企業に限り、取得価額が30万円未満なら全額を損金にできる特例がある。
・交際費の前倒し
得意先や関係者を、決算期末が来る前に接待することで、接待費用が当期の損金になる。
・広告宣伝の前倒し
インターネットの広告枠を上位表示させたり、出稿したことのない業界紙に広告出稿してみる。
▼決算をよく見せる方法
・見込み案件の早期受注・納品

見込み案件のリストから、早期に納品できるものをピックアップして、受注活動を行う。
・生命保険を年払いから月払いへ変更
生命保険を年払いにする場合、来期の生命保険の支払いを期末の3月に行うことになるため。
・含み益のある資産の売却
現在利用していないゴルフ会員権や土地や機械、事業に関係ない株式などの売却を検討しよう。
山口真導
公認会計士・税理士
アカウンタックス代表取締役。朝日監査法人(現あずさ監査法人)、エスネットワークスを経て、2003年、山口公認会計士事務所設立。翌年、アカウンタックス設立。
(構成=岡村繁雄 撮影=村上庄吾 写真=iStock.com)
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