たとえばパソコンはどうか

コピー機に始まり、パソコン、自動車、ウオーターサーバー……。普段、われわれが会社の中で何気なく使っている機器のなかには、リース製品が多く含まれている。

写真=iStock.com/gyn9038

以前は、リースで設備を導入すると賃借対照表に計上する必要がなかった(オフバランス)。そのため、総資産額が実態よりも小さくなり、総資産利益率(=純利益÷総資産)が改善するというメリットもあったのだが、2008年、リース会計基準が変更され、上場企業などの大企業では、リース取引を賃借対照表に計上しないことは原則不可となった(ただし、300万円以下の少額リースはオフバランス可)。

「ただ、その影響はわれわれが想定した以上に小さいものでした」

そう話すのは、三井住友ファイナンス&リースの杉本裕志業務推進部長だ。しかし、その後、リーマンショックにより、企業の設備投資は激減。リース業界も打撃を受けた。とはいえ、ほとんどすべての企業がリースを利用していることに変わりはない。利用企業の割合は、1980年には57.8%だったが、現在では約97%だ。公認会計士の柴山政行氏は語る。

「かつては『リースなんてよくわからないものに手を出せるか』と言う人もいたでしょうが、世の中に浸透するにつれ、忌避するものではないとの認識が広まった。販売業者やメーカーの側も『リースを利用しますか?』と言いやすくなったことで、さらに利用率が高まったのでしょう」

スモールスタートとリースは非常に相性がいい

買うべきか、リースにすべきか。リースの特徴を踏まえながら、企業の悩みを解決していこう。リースを利用すると、高額の機器を導入する場合でも、月々定額を支払うだけでいい。定額なので資金繰りのめどをつけるのが容易だし、1度に大きな持ち出しを行って、経営に負担をかけるリスクが抑えられる。数百万円の設備を買うために銀行から融資を受けようと思えば、担保を差し出したり、連帯保証を求められることもあるが、リースなら不要。信用枠や借り入れの枠を減らすこともない。

「世の中の動きが速いため、起業したり、事業を立ち上げる際に、資金を準備するより、スピードを重視する場面もある。スモールスタートとリースは非常に相性がいいんです」(柴山氏)