厚生年金加入のチャンスを逃すな!

少しでも年金格差を縮めるためには、働き方を工夫する必要があります。ポイントは、(1)厚生年金から外れないこと、(2)収入を増やすこと、(3)できるだけ長く働くこと、の3つです。

「公的年金」は、国が運営する強制加入制度。「厚生年金」は、基礎年金に上乗せする形で支給される。公的年金以外には、確定拠出年金(401k)や確定給付年金などの「企業年金」、個人型確定拠出年金(iDeCo)や国民年金基金など自分の意思で加入できる年金がある。

前述のように将来の受給額は、厚生年金と国民年金で歴然とした差がありますから、厚生年金に加入している人は、特に女性の場合には出産による退職で、その立場を手放さないことが大事です。厚生年金は国民年金と異なり、報酬額によって保険料が変わります。それが将来受け取る年金額に反映されるのです。言い換えれば、たくさん保険料を納めると、将来の年金額も多くなるということです。

育児休業の期間は、厚生年金保険料が免除されます。将来、年金額を計算する際には育児休業中も保険料を支払ったものとして計算してくれるのです。復帰後に給料が下がった場合でも、年金額の計算の際には休業前の高い給料が続いたと仮定して計算されます。この優遇は子どもが3歳になるまで受けられるので、仕事と子育ての両立は将来必ず報われることになります。

退職金にも差がつきます。共働きであれば2人の分の退職金を受け取れますが、夫が1人で働いている場合には1人分です。こちらは産休・育休中は退職金額に反映されないのが一般的ですが、それでも退職金は正社員にのみ支払われる老後の大きな財産です。パートナーが正社員かそうでなかったかで、最後に受け取る額が1000万円単位で違うことになりうるのです。

このように専業主婦世帯と共働き世帯では、老後資金に「年金と退職金」で差が生じますが、特に大きなインパクトを与えるのが共働き世帯の「ダブル厚生年金」です。これまで女性が定年まで働いて、夫婦で厚生年金を得られるのは、妻が教師の場合などに限られていました。しかし、女性が正社員で働き続けられる環境が整い、今後はその数が増えていきます。これは老後不安を解消する最高の対策なのです。