ようやく日本でも、サバティカル休暇という制度が注目され始めた。経済産業省の有識者研究会がまとめた報告書でも、企業にその導入が提唱された。所定の勤続年数に達したり、優秀な成果を収めたりした従業員に、数カ月~1年程度の長期休暇を与えるという制度だ。名称の由来は旧約聖書に出てくる「サバティカス(安息日)」で、休暇明けには同じポジションに復帰できる。
欧米では広く普及し、休暇の目的は問われないが、自己啓発や学び直し、ボランティアに取り組む人が多い。リクルートワークス研究所の村田弘美グローバルセンター長はこう語る。「キャリアブレイクと呼ぶ国もあり、名称や仕組みに多少の違いが見られるものの、広義には同じような趣旨の制度。日本でも、私費就学のための休職を最長2年間取得できるソニーをはじめ、一部の企業が独自に長期休暇を設けている」。
また、ヤフージャパンでは単刀直入にサバティカル制度という名称で、勤続10年以上の正社員に2~3カ月の休暇を与えている。課題となるのは休職者の代役人員の確保だが、「北欧には失業者を充てている国もある」(村田氏)という。欧米人と比べて日本人は長期休暇の取得をためらいがちだが、「多数のボランティアが必要な東京五輪が、普及の契機になりうる」(村田氏)だろう。
(写真=AFLO)