車を所有せずにサービスとして利用する社会が到来する

2018年4月、政府は自動車の「自動運転に係る制度整備大綱」を策定したが、世界的にはさらに包括的な観点から「人の移動に関する革命」が進行中だ。それがMaaS(Mobility-as-a-Service=サービスとしての移動体)構想である。

トヨタの「e-パレットコンセプト」(米ラスベガスの「CES 2018」)。(時事通信フォト=写真)

鉄道やバスは事業者が輸送機器を所有して利用者にサービスを提供してきたが、自動車はもっぱら利用者が所有するのが前提。だが、自動運転やライドシェアの普及で「所有せずにサービスとして利用する」のが主流となるかも。MaaSはそれを前提としたサービスを構想しており、東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センターの須田義大教授は「IoT技術で鉄道やバス、タクシー、ライドシェアなどの多様な移動体情報が一元管理され、利用者の情報端末に目的地までの最適なドア・ツー・ドアの移動方法が提案される」と説明する。

欧米の自動車メーカーはいち早くMaaSに注目、ライドシェアを念頭に置く自動運転車の開発を進める。日本勢は「所有」の発想にとらわれてきたが、18年1月にトヨタ自動車がMaaS専用次世代電気自動車「e-パレットコンセプト(e-PaletteConcept)」を発表して急追。革新的に利便性が高まるだけに実現すれば利用者拡大は必至。「自動車の販売台数は減ったとしても稼働率は確実に高まる」(須田教授)。

(写真=時事通信フォト)
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