「年上の長話」はじっと我慢すべきなのか

――3分間は時計やタイマーで計るのですか?

それでもいいですが、僕のおすすめは砂時計。話しはじめたら砂時計をひっくり返せばわかりやすい。常に砂時計を携帯していれば、話が長い上司に話しかけられたときにも使えます。

――メチャメチャ怒られそうですが。

確かに1人で砂時計を使えば怒られそうですが、部下全員で示し合わせてみんなが砂時計を持てばいい。それで「おまえら何だ!」と怒られたらこう切り返せばいいのです。

「効率的に仕事をして生産性を上げたいので、話は3分というルールを決めました。課長も1ついかがですか。はい、プレゼントします」と。

――出口さん、マジメに答えていますか!?

はい、もちろんです。昔、いつも長話をする上司がいました。それで僕は話が3分ぐらいを過ぎたあたりから、時間がもったいないので仕事をしながら聞いていました。

すると部下に「ちょっと出口さん」と別室に呼ばれて、「あの人は出口さんより10歳も年上ですよね。つまらない話を聞くのも、これからリーダーになるための鍛錬です」と注意されました。それからはその上司、「鍛錬おじさん」が部屋に入ってくると、僕に注意した部下がいつも小さい声で「鍛錬……」と僕の耳元でつぶやくのです。

結論としては、砂時計は1つの比喩ですが上司も巻き込んで楽しくルール化して、職場を変えていけばいいと思いますね。

Answer:1人3分ルールが効果的。みんなで砂時計を持ちましょう

出口治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、ライフネット生命社長・会長を経て、2018年1月より現職。
 
(構成=八村晃代 撮影=市来朋久 写真=iStock.com)
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いい上司ほど「指示待ち」の部下をつくる