時間はどんな人にも平等に与えられている。「名リーダー」と呼ばれる人たちは、その時間を最大限に有効活用することで、成果を残してきた。彼らはなにを優先して日々すごしているのか。三者三様の考え方を紹介しよう。第2回は武蔵野の小山 昇社長だ――。(全3回)

※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の特集「24時間の使い方」の掲載記事を再編集したものです。

いまでも明日でも、どうせ同じ答えです

時間をかけて情報収集すれば判断の精度が高まるというのはウソです。まず、時間をかけても情報が集まる保証はありません。仮に集まってきたとしても、それが正しい情報かどうかはわからない。誤った情報に基づいて判断する可能性も十分にあります。

武蔵野 社長 小山 昇氏

では、正しい情報とは何か。それはお客様に商品やサービスの形で聞いてみないとわかりません。商品やサービスが売れてはじめて「あの情報は正しかった」とわかります。正しいかどうかは後付けでしかわからないのだから、とにかく早く市場に問うたほうがいい。それがもっとも早く正解にたどり着く方法です。

市場に聞いた結果、まったく売れずに失敗することもあるでしょう。でも、失敗したら軌道修正すればいいじゃないですか。いち早く失敗すれば、やり直しにも早く取り掛かれます。

そもそも一発で成功させようとするのが間違いです。パチンコや麻雀を100回やって100回勝つ人はいません。ましてやビジネスで失敗するのはあたりまえ。どんな名経営者だって判断ミスはします。最初からトライ&エラーを前提にして、そのサイクルを早く回した人が最終的にもっとも早くゴールに到達するのです。

失敗したときに見切る早さも大切です。わが社はシニアケア事業にチャレンジしたことがあります。エース級の幹部4人を投入して6000万円かけたものの、結果は大赤字。多少の苦戦は覚悟していましたが、私が考えている以上に市場がニッチでした。これ以上やっても傷口を広げるだけだと判断して、1年で撤退しました。

リーダーにとって最大の時間のムダは、決断の先延ばしです。社長の仕事は決定すること。社長が決めなければ、社員は動きたくても動けない。グズグズしているうちに、会社の動き全体が遅くなります。

決断の早さが重要なのはビジネスパーソン個人も同じです。すぐに決断して動き出せば、それだけ早く仕事に取り掛かることができて、早く片づく。だらだら残業したくないなら、仕事のスピードをあげるより決断を早めることのほうがずっと効果的です。

じっくり考えたほうが正しい答えを導けるという人もいますが、それは決断が遅い人の言い訳です。判断するスキルが10の人は、どんなに時間をかけても10以上の判断は下せません。いま決めても明日決めてもどうせ同じ答えです。それならいま決めて動き出したほうがいい。

シニアケア事業の社員は、当時伸びていた経営サポート事業に異動させました。その結果、利益が増えて、シニアケア事業の赤字はすぐ取り返せた。見切りが遅かったら、赤字が増えていただけでなく別事業の成長のチャンスも逃していたでしょう。