『映画ドラえもん のび太の宝島』が初登場1位となりました。シリーズ最高興収だった前作を上回るスタートで、「歴代最高」の興収が見込まれています。マンネリ化で興収の落ち込んでいた『ドラえもん』は、なぜ復活できたのか。ライターの稲田豊史さんが考察します――。
映画全38作の興収は「アップダウン」が激しい
毎年3月の風物詩、1980年から脈々と続いている「映画ドラえもん」シリーズ(以下、映画ドラ)の第38作目『映画ドラえもん のび太の宝島』が初登場1位となりました。
もはや説明不要の国民的人気を博する『ドラえもん』なので、当然といえば当然の結果ですが、驚くべきはその数字です。2日間の興収8億4300万円は、昨年3月に公開された前作『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』の興収比なんと121.8%。しかも、その『南極カチコチ大冒険』はシリーズ最高興収である44.3億円をたたき出していたので、今作がそれを上回って再び「歴代最高」を更新するのはほぼ確実となりました。(※)
(※)なお99年以前の公開作は、公表値が「興行収入」ではなく「配給収入」のため、慣例にもとづいて「配給収入の2倍」を興行収入とみなしています。
子供も含めた幅広い年齢層に人気のある星野源の主題歌起用、『君の名は。』をプロデュースして歴史的ヒットに導いた川村元気氏による書き下ろし脚本、公開前にスネ夫がLINEライブをするなど話題には事欠かず、それらがうまく動員へと結びついた模様です。目下のところオールターゲットで鑑賞満足度が高く、佳作と駄作の振れ幅が大きい昨今の映画ドラシリーズにおいては、紛れもなく佳作の部類に入るでしょう。