いまどきの子どもは、CDやDVDを買わない一方、映画やコンサートへの出費は惜しまない――。博報堂生活総研が子ども(小4~中2)を対象に調査した結果、そうした傾向が明らかになった。なぜ子どもたちは「イベント」に引きつけられるのか。博報堂生活総研の十河瑠璃研究員が考察する――。(第7回)
子どもは本当にお金を使わないのか
博報堂生活総合研究所は昨年、子ども(小4~中2)を対象とした大規模調査「子ども調査2017」を実施しました。この調査は20年前の1997年から同じ調査設計、項目で実施されている長期時系列データ(ロングデータ)です。
3回目となる今回の調査では、子どもたちの物欲が減少し、流行にも関心を示さなくなっている傾向が明らかになりました。毎月おこづかいをもらっているという子は初めて半数を下回り、もらっている子でさえ、その使い道のトップは「貯金」。子どもの日常生活から、消費の機会そのものが激減しているようです。
この変化の背景には、おこづかいをためて購入していたものの多くが、「タダ」で楽しめるようになったことがあります。今の子どもたちは、ゲームや音楽、マンガ、プリクラ(写真加工)などを楽しめる無料のサービスに囲まれています。「タダで手に入るのなら、わざわざ買わなくてもいい」と考えるのも無理はないでしょう。このような世代を、私たちは「タダ・ネイティブ」と名付けました。
タダ・ネイティブたちは一見、何に対してもお金を使わないように見えます。しかし、深く調査していくと、むしろ上の世代が「なぜ?」と思うような場面で、積極的にお金を投じていることが分かってきました。