親子間の関心ギャップがなくなってきている
こうした子どもたちの消費スタイルの変化は、親子間での興味関心のギャップがなくなってきていることも影響しているでしょう。前述の「ジャンプ」を複数冊購入した小4女子のご両親は、自分たちもアニメやゲームが好きなので、娘がグッズ収集などにおこづかいをつぎ込むことに理解があるようでした。また、劇場版の初日に必ず足を運ぶ中2女子の母親は、自分も10代の頃に見ていた作品なので、子どもと一緒に映画を楽しんでいるといいます。
かつては「くだらないマンガばかり読んでないで、ちゃんとした本を読みなさい!」と、子どもの好きなものに理解を示さない親が少なくありませんでした。しかし、世代をまたぐような「長寿コンテンツ」が増え、アニメやゲームに親しみをもつ世代が親になったことで、今までになかったお金の使い方をしやすくなっているのではないでしょうか。
価格もお金の取り方も変わる
タダ・ネイティブたちの消費において重要なのは、流行や世間からの評価の高さよりも、それが「好きだ」という自分自身の直感です。彼らが大人になった未来には、かつてのアイドルのように巨大なマスからの支持を得ることが難しくなる一方、数十人、数百人の熱烈なファンに支持される人やコンテンツは今よりもずっと増えるでしょう。
それに伴い、収益モデルは「100人から100円ずつ集める」というマス型モデルから、「1人の熱烈なファンに1万円使ってもらう」という小経済圏モデルに移行することが予想されます。熱烈なファンにとっては、作者や作品に貢献すること自体が価値をもつため、これまで値段もついていなかったようなことがビジネスになるかもしれません。
また、さまざまな分野で増えつつある月額課金などの「サブスクリプション型(定期支払い型)」のサービスも、さらに裾野が広がっていくでしょう。月額課金と聞くと負担が大きいように思えますが、熱心なファンは「毎月会員限定のボックスが届く」「月に数回、主催者とオンライン上でやりとりできる権利がもらえる」といった特別感のあるサービスには惜しまずお金を使うはずです。今後は、こうしたファンの要求にたえるサービスをいかに設計するかがより重要になってくるでしょう。