意外なコンテンツを楽しむ子どもたち
博報堂生活総合研究所は昨年、子ども(小4~中2)を対象とした大規模調査「子ども調査2017」を実施しました。この調査は20年前の1997年から同じ調査設計、項目で実施されている長期時系列データ(ロングデータ)です。3回目となる今回の調査では、物心のつく頃から自由にインターネットを使える環境にある子どもたちは、「基本的にはタダ=無料で十分」という価値観をもちつつあることが見えてきました。連載第6回は、そんな“タダ・ネイティブ”世代の特徴を、「コンテンツ選び」の面から考えます。
私が子ども時代を過ごした1990年~00年代初頭、子どもにとってのコンテンツの情報源は主にテレビや雑誌などのマスメディアでした。テレビを通じて、安室奈美恵やモーニング娘。といった旬のアーティストやアイドルの情報を誰もが追いかけていました。
しかし、「現代っ子」は事情が違うようです。98年の調査開始以来「流行に関心がある」「流行を人より早く知りたい」「流行を人より詳しく知りたい」という子は一貫して減少しています。代わって目立つようになったのは、「そんなものまで、よく知っているなあ」と思うような幅広いコンテンツを楽しむ子どもたちの姿です。
家庭訪問調査で話をうかがった小学4年生の男の子は、西野カナなどの今どきのアーティストを好む一方、「来来!キョンシーズ」(1988年放映のテレビドラマ)や沖縄県出身のアコースティックバンドBEGINのファンで、YouTube(ユーチューブ)で動画を繰り返し見ていると話していました。
また、こうした傾向はこの子に限ったことではなく、00年代初頭から成人のファンに根強い人気があるゲームシリーズ「東方Project」は、ファンの若返りが進んでいて、今年の人気投票では10代の参加者が4割を超えました。同人誌即売会の「例大祭」でも、10代と思しき若い参加者が増えているそうです。いずれも10代の子どもたちが生まれる前に流行したコンテンツですが、こうした変化の背景には、何があるのでしょうか。