信頼できる精神科医の条件とは
では、困った精神科医を避け、信頼できる精神科医を見つけるには、どうしたらいいのでしょうか。私は「信頼できる精神科医」には以下の3つの条件があてはまると考えています。
1.患者さんに対して尊厳を持つ1人の人間として接する医師。これが一番大事なことです。病気を持つ弱者にどう接するか。これはおのずと態度に現れます。
2.話をよく聴く医師。「聞く」のではありません。ところどころに質問や納得の言葉を入れつつ、興味を持って「聴く」のです。このことにより、患者さんの考える病気の原因や苦しみのお話(ストーリー)が明らかになります。
聴くと言っても、だらだらと時間を費やす必要はありません。診察時間がやたらと長い医師は、技量が未熟だったり、すがり付く理論(診断基準や原因論)に当てはめようとしていたりするようです。ちなみに私の場合、診察にかける時間は、初診で30分~45分程度、再診で10分~15分程度です。
患者さんの話をよく聴くことは、治療のアドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)を上ることにもなります。この過程で治療上のヒントが見つかるのもよくあることです。
3.「よくわからない」と正直(Genuine)に伝える医師。すぐに「分かった」と解釈を始める医師はちょっと考えものです。精神科には、「困ったときは正直(Genuine)に」という諺(ことわざ)があります。「そこがよくわからないのですが?」と口に出す医師は信頼できます。
人間は、脳・心・環境という3つの要素が複雑に入り組んでいる存在です。どれかが傷み始めると、ほかの2つにも悪影響を及ぼし、相互的な悪循環を引き起こして全体が不調になると考えるのが合理的だと思います。脳・心・環境の3つに常に気を配り治療を進めていく医師がおすすめです。
この3つの条件と「偏らなさ(Flexibility)」を満たしていれば、あとは「相性」「波長」「フィーリング」などがあえば、あなたにとって信頼できる「主治医」となるはずです。