(9)単なる調査は顧客不満のもとになる

単なる調査のために食事を中断されたり職場でしつこく頼まれたりするのを喜ぶ人間はいないだろう。新車を買った友人は、いろんな調査書類が送られてきたが、そうした調査にかかる費用の分を車の値段から引いてくれれば、そのほうが嬉しいと言っている。多くの企業が、顧客のニーズやクライアント企業の事業についてほとんど知識がない調査会社を使っているが、別のやり方をしてもよいのである。たとえばハーレーダビッドソンでは、顧客に電話するのは、同社を最近退職してパートタイムで再雇用された人たち、つまり同社とその製品についてよく知っており、顧客の声をじっくり聞くことを任務としている人たちだけだ。これらの退職者が顧客についてのさらに深い発見をもたらし、ハーレーの文化とブランドを強化しているのはけっして偶然ではない。サウスウエスト航空では、コリーン・バレット社長が大規模な調査をやめさせて、顧客からのフィードバックを望む社員は、もらった情報をどうするつもりかを説明したうえでフィードバックを依頼する手紙を自分自身で書く、という方針を打ち出している。

(10)情報操作が調査の信頼性を損なう

車の販売店に行ったときのことを思い出していただきたい。あなたはおそらく、どの質問に関してもトップの答えに印がつけられた満足度調査が、拡大されて壁に張り出されているのを目にしたことだろう。店の経営者は、たいていは無料のフロアマットや無料オイル交換と引き換えに最高の評価をつけるよう、販売員に顧客にプレッシャーをかけさせたりもする。顧客のほうでも、一部の事情通の人はこれをうまく利用するようになっている。

顧客満足度の無意味な測定値は企業の成長に役立たない。企業に必要なのはその会社を賛美し、競合他社に乗り換えることなど考えもしない熱心な支持者なのだ。顧客の支持に関する定期的かつ体系的なタイムリーなデータを集めて、その情報を現場のマネジャーがただちに利用できるようにしよう。

幸いなことに、このデータはたった一つの「究極の質問」で集めることができる。それは「あなたがこの会社を友人や同僚に勧める可能性はどの程度ありますか」という質問だ。これを定期的かつ体系的に質問して、結果を0から10までの点数で表してみよう。あなたの顧客の何人が忠実な推薦者(9点および10点)で、何人があなたの会社と消極的に取引しているだけ(7点および8点)で、何人が離反者(他のすべての点数)であるかがわかるはずだ。成長へのカギは、推薦者を増やして離反者を減らすこと。あなたの会社の正味推薦者スコア、つまり推薦者のパーセンテージから離反者のパーセンテージを引いた数字に目をこらし続けよう。そうすれば、どれだけの、どのような顧客があなたの会社の陰のセールスマンかがわかるようになるだろう。

(翻訳=ディプロマット)