留学中に日本製ラブドールを転売したら人気に

――中国は社会主義の国なので、性には厳しいイメージがあります。しかし計画生育政策のもとで産児制限がおこなわれ、なにより人口が多くて独身者も多いため、実は以前から「性健康」「性保健」の名のもとで成人用品の流通販売が黙認されてきました。ただ、ラブドールは顔の造形に工夫が必要なため、センスの悪い商品が多かった印象です。

【楊】そうですね。中国では(過去の一人っ子政策のもとで親が「産み分け」をおこなったこともあり)国民の男女比は116:100と、かなり不均衡。結果、一生結婚できない男性が3000万人から5000万人もいると言われています。ラブドールの市場は極めて大きく、これは弊社の起業の理由のひとつです。

ご指摘のように従来の中国産の製品の外見は「微妙」なものが多かったため、私どもは差別化のできる美しいものをつくっています。中国は豊かになりましたから、ちょっと値段が張っていても、美しければちゃんと売れるんですよ。

EXDOLL本社で筆者の取材に応える楊CEO。1983年生まれの34歳。経営陣もほぼ全員が楊氏よりも若いという。

――なるほど。楊さんはもともと、日本の大学に通っていた留学生とのことですが、どういう経緯でラブドールメーカーを起業することになったんですか?

【楊】2000年から日本に留学して、2005年ごろから小遣い稼ぎに「代購」をはじめたんですね。ネットで中国国内にいる中国人から注文をもらって、日本で代わりに商品を買って相手に送るビジネスです。

――近年、「代購」は中国人留学生の小遣い稼ぎの鉄板です。とはいえ、2005年からやっているというのは相当なアーリーアダプターですね。

【楊】ええ、それで2007年くらいからかな。オリエント工業のラブドールがずいぶんよく売れたんですよ。