【水野】東京・豊洲にあるキッザニアにいきました。キッザニアはメキシコ発のテーマパークで、中学生以下の子どもたちが職業を体験できます。たとえば消防士になって火を消したり、ケーキ屋さんになってケーキをつくることもできます。働いたあとにはお給料ももらえます。

ライフイズテック 代表取締役CEO 水野雄介氏

【田原】えっ、お給料?

【水野】中でしか使えない疑似的なお金です。ただ、それで仕事や働く意味を理解できる。いわば「キャリア教育×エンターテインメント」のテーマパーク。そこにいって僕が感じたのは、世の中は新しい教育を求めているということ。日本の教育に何か遅れているものを感じているからこそ、キッザニアで行列をつくっている。それなら自分が新しい教育をつくっていこうと起業しました。

【田原】ここはしっかり聞きたい。日本の教育が遅れているって、具体的にはどういう点が?

【水野】21世紀は、「個の教育」の時代だと考えています。しかし、日本は個の育成がうまくない。原因は、大学受験と新卒一括採用。システムに順応するように子どもたちを教育するから、個が育ちにくいのです。

【田原】中学も高校も大学受験の合格者を増やすことが目的になっているからね。イノベーションなんか何も考えてない。

【水野】そこを変えたいのです。経済成長していた時代は、指示されたことをやる能力があれば幸せになれたので、間違いのない答えを出すことが重要でした。しかし、いまは誰も正解がわからない。自分で答えをつくらせる教育をしないといけません。