習慣6 勝ち負け思考はやめて自分の弱みを見せる
人には自衛本能がありますから、弱みは見せたくないものです。英語が苦手、政治に疎い、経済に暗い……そんな弱点を知られると、不利益につながると考えます。しかし、「勝ち負け思考はやめて自分の弱みを見せる」ことを6つ目の習慣にしましょう。
弱みをさらけ出すと、その素直さ、潔さは好感をもって受けとめられることでしょう。ときには、相手のサポートを受けて、弱点がカバーできるかもしれません。弱みを見せることで、ストレスやイライラ、不安なども解消されていきます。
習慣7 三業を整えて、ふるまいを美しくする
7つ目の習慣は、「三業を整えて、ふるまいを美しくする」ことです。三業(さんごう)とは、身体の「身業」、言葉の「口業」、心の「意業」のことであり、禅の教えにある「三業を整える」とは、美しくふるまえば、言葉もうつくしくなり、心も整うという意味になります。
人は、ふるまいの美しい人に近づきたいと思うものです。それでは、美しいふるまいとはどのようなものでしょうか。禅の美の表現を借りれば、「簡素」にして「自然」ということになります。それは、上品に見せることではありません。心を込めて、丁寧に所作をおこなえば、自ずと、簡素で自然な美しいふるまいになるのです。
習慣8 自然と触れ合うことで感性を磨き続ける
向き合っている相手の心の内を感じとるのは感性です。感性を磨くために、できるだけ自然と触れ合いましょう。8つ目の習慣は、「自然と触れ合うことで感性を磨き続ける」ことです。
いたるところで冷暖房が備わっている現代は、日常のなかで季節を感じることが難しくなっています。葉のこすれる音、小鳥のさえずり、草の香り、北風の冷たさ……自然にはどこにも「はからい」がありません。あるがままの姿が、自然にはあります。
日本人の豊かで繊細な感性は、四季折々の自然と触れ合うことで育まれてきたのではないでしょうか。心がもともと備えている、相手との距離の自動調整能力をうまく機能させるためにも、自然と触れ合いましょう。
どれも今日から実践できる簡単なことです。「これならばできそうだな」と思えるものから是非お試していただければと思います。
「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶
1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受賞。2006年、「ニューズウィーク日本版」にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『スター・ウォーズ 禅の教え』(KADOKAWA)、『禅シンプル生活のすすめ』(三笠書房)などがある。