今回の総選挙では立憲民主党がネットで存在感を発揮した。特にツイッターやフェイスブックでは自民党のフォロワー数を抜き、日本の政党で1位になった。資金に乏しいはずの立憲民主党は、どんな手を使ったのか。ネット選挙コンサルタントの高橋茂氏が解説する――。

「発信力」を強めた立憲民主党

10月22日に投開票が行われた総選挙では、自民党が圧勝した。一方、希望の党は失速し、立憲民主党が躍進した。この結果は、総選挙での各党のネット戦略の出来と相関している。

もちろん、ネット戦略がうまくいったから票があつまった、と単純に言いたいわけではない。ただ、「ネット選挙コンサルタント」を務めてきた人間としては、より一層ネットの重要性が増した、と実感させられる選挙だった。今回の選挙について、政党の主義主張ではなく、あくまでも「ネット戦略」の視点から振り返ってみたい。

まず触れたいのは、立憲民主党の躍進についてだ。ネット戦略を評価する際、重視すべきものに「発信力」がある。立憲民主党は、今回の選挙で「発信力」を存分に発揮したと言えるだろう。

各党のネット「発信力」ランキング

最初に定義しておくと、私の考える「発信力」とは、「より多くのツールを有効に使って継続的に有権者に届ける」ということだ。主なところでは、政党のウェブサイト、フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、LINE、ユーチューブがある。それぞれにアカウントを持ち、多くの有権者の登録を集め、選挙以外でも積極的に情報発信していることが「発信力が高い」と言える。

ここで、10月26日現在の主な政党のSNSを見てみると、ツイッターとフェイスブックの両方で、立憲民主党の躍進ぶりが伺える。ほぼ同じ時期に結党された、希望の党との間には大きな差がある。一方、解散前まで野党第一党だった民進党は、どちらの数字も共産党より少ない。

自民党がトップで民進党は最下位

立憲民主党が出てくるまで、日本の政党において、ネット戦略が最も優れているのが自民党で、最も遅れているのが民進党(旧民主党)だった。これは日本でネット選挙にかかわった人間ならば、誰もが共有している「事実」である。

これまでの選挙では、インターネットでの発信力は自民党が「ダントツ」で1位。続くのが、主張が際立っている共産党と、多くの登録者を囲い込んでいる公明党だった。一方、民進党は日頃の発信がほぼ無く、選挙前にだけ大手広告代理店に一括して依頼し、選挙が終わればまた発信がなくなる、という状況だった。