本来なら「安倍1強」に対抗する力を蓄えるべき
「民進党」が10月27日、両院議員総会を開き、前原誠司代表がその冒頭のあいさつで辞任を表明した。衆院選大敗の責任だという。さらに当初方針の「希望の党」への合流は見送り、民進党の存続を決めた。
希望の党も同日、両院議員総会を開いて小池百合子代表が国政から距離を置く姿勢を示したが、共同代表の人事をめぐって二転三転した。
前回(10月29日掲載)、沙鴎一歩は「とにかく野党がだらしない」「大騒ぎをした野党の責任は大きい」と厳しく指摘し、前原氏と小池氏に焦点を絞って野党問題を論じた。
さらに民進党も希望の党も混乱が続いている。強い野党があってこそ、政治のバランスは取れる。本来なら党内の結束を固め、「安倍1強」に対抗するための力を蓄えるべきなのにそれができない。国民はいま、野党から目を離してはならない。
今回も両野党を取り上げ、その責任問題について新聞社説はどう書いているかを読み解いていきたい。
「政治は結果責任」と前原代表
「前原代表辞意」とのタイトルを付け、その見出しで「民進はどこへ向かうつもりか」とズバリ書いているのは、10月28日付の読売新聞の社説である。
2本社説中の2番手扱いだが、なかなか読ませる社説だ。
書き出しも「解党に向かうはずが、一転、存続するという。民進党は一体どこに向かうのだろうか」と分かりやすい。
読売社説は「民進党の前原代表は両院議員総会で、衆院選での自民党大勝を受け、『政治は結果責任だ。責任を痛切に感じている』と述べ、党の方向性が決まった時点での辞任を表明した」と事実関係を書き、「安倍政権を倒すため、民進党を事実上、希望の党に合流させ、自民党に対抗できる野党勢力を結集する構想は不発に終わった。その責任を取るのは当然だ」と前原氏の責任を厳しく追及する。
ここまでは他の新聞社の社説でと変わりないが、今回の読売社説が鋭いのは次の主張である。