米大統領のトランプ氏が11月5日、来日した。安倍晋三首相は日米の蜜月ぶりをアピールしたいようだが、だまされてはいけない。その政策の根幹は「米国第1主義」にある。ジャーナリストの沙鴎一歩氏は「ロシアゲート疑惑を論じた東京新聞社説がすばらしい。トランプ氏に読ませたい」という。パフォーマンスで成り上がったトランプ氏も、ついにここまでか――。
東京新聞の社説(11月1日付)。見出しは「ロシアゲート 捜査の突破口が開いた」。

イバンカフィーバーを演出する巧みさ

米大統領のトランプ氏が5日、来日した。安倍晋三首相は埼玉県のゴルフ場でトランプ氏を出迎え、午後は2人でゴルフを楽しんだ。6日には東京・元赤坂の迎賓館で日米首脳会談が行われ、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の問題が最大の議題となった。

トランプ氏の来日は大統領就任後初めてだ。それだけに日米両国は盛り上げようと必死である。なかでも注目を集めたのが、トランプ氏の長女、イバンカ大統領補佐官の来日だろう。テレビのワイドショーなどはここぞとばかりに彼女の一挙一動を追いかけ、イバンカフィーバーを盛り上げていた。

イバンカ氏は36歳。180センチメートルの長身のモデルで、自身の名前を冠したブランドを持つ実業家でもある。一流の大学を卒業後、トランプ氏の不動産ビジネス中核企業の副社長も務めた。父親のトランプ氏に信頼され、政権内での影響力もある。まさに才色兼備のスーパーウーマンだ。

「歴史的な訪問を歓迎したい」と安倍首相

そのイバンカ氏を先に来日させ、自分自身の来日を日本に大きく印象付ける。さすが、才覚ひとつで巨額の富と大統領の地位を獲得したトランプ氏である。巧みなパフォーマンスである。

安倍首相はイバンカ氏が設立を主導した女性起業家を支援する基金に5000万ドル(約57億円)を拠出すると表明した。さらに日米の蜜月ぶりをアピールしたいのか、官邸の記者団に「歴史的な訪問を歓迎したい」と述べていた。

しかし、日本国民はだまされてはならない。

トランプ氏は米国第1主義を掲げる。その政策は濃厚な保護主義だ。メキシコとの間に巨大な壁を作るなど強硬な手段も辞さない。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に対しては「ロケットマン」とからかう。ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズなど米国のクオリティーペーパーが自分に都合の悪いことを書くと、「フェイクだ」と平気でののしる。

こんなトランプ氏はやがて大統領選をめぐる「ロシアゲート」でその身を滅ぼす、と沙鴎一歩はみている。つい最近、このロシアゲートで初めての起訴があった。11月1日付の東京新聞の社説が、それについて読み応えのある社説を書いている。ぜひともトランプ氏に読ませたい内容だった。ここで紹介したい。