なぜ有権者は政治家にばかにされるのか
もうひとつ気になる記事がある。10月12日付の東京新聞夕刊に掲載された高村薫氏のインタビューだ。高村氏は『マークスの山』で直木賞を受賞し、その後、直木賞選考委員に名を連ねている小説家である。
高村氏は今回の衆院選に対し、「四十年以上、投票をしてきましたが、今回ほど頭を抱えたくなる選挙はありません。有権者はなめられたものです」と語る。
臨時国会冒頭で解散を決めた安倍首相には「『国難』と言うだけで北朝鮮の問題への非難決議もなく、所信表明演説や代表質問すらしなかった」と批判し、さらに小池氏の政治姿勢に対しても「都知事選での公約を何ひとつ実現していない」と酷評する。
そのうえで、高村氏は「政治家がこのように国民をばかにした態度をとり続けるのは、有権者が、政治を軽く見ていることの裏返し」と強調する。
高村氏の訴えは理解できる。選挙となればメディアは報道を過熱させる。有権者は、そうした風潮に流されず、一つひとつの政党、一人ひとりの政治家をしっかり自分の目で分析し、選挙で正しい選択をすることが必要だと思う。「手のひら返し」を繰り返すメディアの責任は重い。