安倍首相自身の指示がなければ問題ないのか

この後、朝日社説は森友・加計問題の中身に言及する。

加計問題については「首相の友人が理事長の加計学園の獣医学部新設問題では『一番大切なのは私が指示したかどうか』『国会審議のなかで私から指示や依頼を受けたと言った方は1人もいない』という」としたうえで、「首相自身の指示がなければ問題ないと言いたいのだろう。だが、それでは説明になっていない」と指摘する。

次に森友学園については、「(妻の)昭恵氏の説明責任については『私が何回も説明してきた』と言うばかり」と指摘し、「昭恵氏はなぜ学園の小学校の名誉校長に就いたのか。8億円以上値引きされた国有地払い下げに関与したのか。昭恵氏が渡したとされる『100万円の寄付』の真相は――」と疑惑を並べる。

なるほど。安倍首相は10月8日の日本記者クラブ主催の党首討論会でも、朝日社説が指摘するように「首相自身の指示がなければ問題ない」と受け取られても仕方がない返答を繰り返していた。

朝日社説は昭恵氏を参考人などとして国会審議の場に呼ぶべきだと主張している。たしかに疑惑解明のためには、参考人招致が必要かもしれない。

読売の主張も珍しく朝日と同じ

読売新聞の社説も翌日の13日付で「国民の疑念には真摯に答えよ」(見出し)と安倍首相の政治姿勢を質している。

読売社説はその冒頭で「国民の信頼がなければどんな政策も円滑に推進することはできない。疑念が生じたら、常に真摯に向き合い、誠実に説明を尽くすべきだ」と主張を的確に書いている。 

そのうえで「衆院選では、安倍首相の政治姿勢も問われている。首相は臨時国会で審議に入らないまま、衆院を解散した。野党は、森友・加計学園問題の疑惑隠しと批判する」と指摘する。

さらに「7月の東京都議選での自民党大敗後、首相は、疑惑で国民の不信を招いたことについて『深い反省』を示し、丁寧に説明すると約束した。選挙中も、その後も、言葉通りの対応に努めねばなるまい」と主張する。

読売新聞は「安倍政権擁護」の論調が目立つが、今回の社説については前述の朝日社説と同じくまっとうな内容である。

安倍首相をはじめとする自民党の議員は、選挙戦の情勢にかかわらず、朝日や読売の社説の主張や訴えを謙虚に受け止めてほしい。