実際、睡眠障害を訴える人の多くは、適切な環境が整っていないから眠れないだけの場合が多くあります。

たとえば夜中に目覚めるのは寝具が合っていないからかもしれないし、室内の温度調節ができていないせいかもしれません。掃除をしていないためにダニが繁殖して、かゆくて目が覚めてしまうという可能性もあります。これらが原因ならば、環境を整えれば済む話です。

考えられる原因を改善しても睡眠障害が続くなら、そこではじめて睡眠薬の出番です。現代の睡眠薬は、以前より副作用のリスクが減って安全性が高まっています。

ただ、どのような薬であれリスクがゼロになるわけではありません。まずは環境や生活習慣を見直して、それでも改善しなければ医師の診断と処方のもと、適切に睡眠薬を服用する。この順番を守ることが大切です。

裴 英洙(はい・えいしゅ)
医師・医学博士、MBA。ハイズ代表取締役社長。金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科で博士課程を修了。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。著書に『一流の睡眠――「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』など。
(構成=村上 敬 撮影=尾関裕士)
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