イメージでなく実態を尋ねると、「今染めている」「将来染めるつもり」という人が82.5%もいた。だが、その人たちに今後も染めるかと尋ねると、「一生染めるつもり」と答えた人は19.4%に過ぎなかった。

「アンチエイジング」はもう使わない

つまり、主婦の友社でも、ハルメクでも、アンケートでわかったのは、「白髪染め、いつかはやめたーい」という女性の叫びというわけ。

では、なぜやめたいの?という話だが、主婦の友社は、それも尋ねている。「染めてもすぐ生えてくるから意味がない」「面倒」「お金がかかる」が、やめたい理由トップ3。そう、白髪染めって煩わしい。56歳、白髪染め歴10年以上の私も実感している。

と、ここで話が少し変わるが、アメリカの女性誌「アルーア(allure)」の編集長がウェブサイトで「アンチエイジングという言葉はもう使わない」と宣言したということが、8月に話題になった。

日本でシニア雑誌を作ってきた私の感想を申し上げるなら、「とっくにそんな気持ちでしたけど」である。奥ゆかしい日本人なので、アンチ・アンチエインジングを宣言したり、それをルールにしたりはしていない。が、ハルメクを作っていて思っていたのは、「シニアですけど、何か?」ということだった。

グレイヘア実践者はどんどん増える

「年齢を重ねる」ということを、さほど構えて考えない女性が増えている。6年の編集長生活で実感したことだ。もちろん年をとれば、不具合は出る。白髪もその一つかもしれない。でも、深刻に考えるより、自然体でとらえる。そういう女性が主流になっている。

というわけで、白髪染めをやめる人が今後ますます増え、グレイヘア実践者がどんどん増える、というのが私の見立てだ。

かくいう私も実は、会社を辞めたのを機に8月から、美容院での白髪染めをやめた。「ハルメク」でも「ときめき」でも「週刊女性」でも、グレイヘアの特集で必ず書いてあるのが、「グレイヘアは手入れが大切」ということ。

そんなわけで本日も丁寧にトリートメントなどしつつ、我がグレイヘアの進行を楽しみにしている。

矢部万紀子(やべ・まきこ)
コラムニスト
1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長。
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