誰のための「人生100年時代」なのか
「若者には未来なんてない、時間があるだけだ」
これは立川談志十八番「やかん」の中のご隠居さんの名文句である。
「ハンバーガーみてェな文明の残飯喰ってて、長生きするはずがない。それが証拠に、若いやつで長生きしている奴ぁ一人もいない」
日本には100歳以上の年寄りが約7万人いるそうだ。人口10万人当たりではイタリア、アメリカ、中国、インドを抜いて第1位である。
1963年には153人だったのが、1998年に1万人、2012年には5万人を超えた。まさに長寿大国である。といってもそのうち9割弱が女性ではあるが。
毎年4~5000人ずつ増えているというから、あと100年もすると100歳まで生きることが稀ではなくなるかもしれない。
どこの国でも長寿を寿ぐという習慣があり、日本でも喜寿、米寿、白寿と名付けて祝ってきた。ちなみに100歳以上は仙寿、110歳は珍寿、120歳は大還暦という。
そのうち還暦を2回祝う年寄りも珍しいことではなくなるかもしれない。
長生き男たちが望む「死ぬまでSEX」
そうした時代を先取りしてか、書店に行くと『人生100年時代の新しい働き方』『人生100年時代のお金の不安がなくなる話』『100歳まで元気でぽっくり逝ける眠り方』『100歳まで元気な人は何を食べているか?』『100歳まで元気でいるための歩き方&杖の使い方』などの本が並んでいる。
眠り方なんかいるか、死んでしまえばずっと寝ていられるんじゃ。杖のつき方で長生きできるのかと悪態をつきたくなるが、そんなに長生きしたいのかね。
アンチエイジング、植毛、ライザップとかで腹をへこますだけに何十万も使うという。
昔は地獄の沙汰もカネ次第といったが、今は長生きするのもカネがなくてはできないのである。
そうやって長生きした男たちが果てしなく増殖して、死ぬまでSEXと、ED薬を飲みながら女を漁る浅ましい世界がやってくるのだろうか。ゾンビの世界だね。