ポイント(3)複数の情報を比較する

1938 年10月、アメリカで、ハロウィンの特別番組として「火星人が襲来した」というラジオドラマが放送されたことがありました。「臨時ニュース」のように演出されていたため、現実のニュースだと誤解した人たちが全国の警察に問い合わせたという記録が残っています。もちろん新聞のラジオ欄などをチェックしていれば、ラジオドラマの中での演出だとわかったはずです。このエピソードは、「情報は、他の情報と照らし合わせて検証しよう」という教訓を示しています。

東日本大震災では、SNSで多数のデマが拡散されてしまいました。

「毒ガスが発生しているから気をつけて」
「酸性雨が降っているから外出しないように」
「◯◯町で倒壊した家屋の下敷きになっている人がいます」

こうした情報を目にして、「みんなに知らせなければ」と善意で拡散を手伝う人が相次ぎました。ところが、その中には誤報やデマもかなり含まれていたのです。緊急時はとくに、情報を複数のソースから確認しましょう。それがデマ拡散を防止する第一歩です。

ポイント(4)「他人の作品」の利用には許可をとる

昨年末、「キュレーションメディア(まとめサイト)」における記事の盗用や著作権侵害が注目を集めたことで、著作権に対する意識も変わりつつあります。

ネットでみつけた文章やイラスト、風景写真、動画などを、無断で使用すれば、執筆者やイラストレーター、カメラマンなどから著作権侵害で訴えられるリスクがあります。「これは引用だから大丈夫」などと自分勝手に判断せず、著作権の許諾について徹底することが求められています。

ポイント(5)間違えたら「訂正」、状況が変われば「追記」

情報発信に関わる人であれば、「間違ったら訂正する」ということは、当たり前のはずです。個人でも、自分の発信した情報だけでなく、拡散にかかわった情報についても、責任をもってフォローし続けることが、現実世界での信頼や評価にも影響します。たとえ読者が数十人程度の個人ブログであっても、間違いがわかったら訂正する。「この人の情報はいつも間違っている」と思われれば、現実世界での人間関係にも悪影響があるはずです。

誰にでも間違いはあります。もし訂正するときは、「何をどのように直した」と、修正履歴を残していおくと、透明性や信頼性を確保することにつながります。

修正履歴の例:
記事掲載当初、本文中で「H大学での講演」としていましたが、
正しくは「S大学での講演」です。お詫びして訂正します。
本文は修正済みです[年月日/時刻]

「メディアリテラシー」は、今の社会を生き抜くうえで、一人ひとりが鍛え続けていかなければならない能力のひとつとなっています。小さな習慣を積み重ねることで、「発信者としてのモラル」は保たれます。ぜひ参考にしてください。

大谷恵(おおたに・けい)コーチ・エィ 広報スペシャリスト
上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業。商社、国際博覧会事務局、アーティストの個人事務所、輸入車メーカーなどを経て、2006年、日本を代表するエグゼクティブ・コーチング・ファーム、株式会社コーチ・エィに広報のプロフェッショナルとして入社。テレビ、新聞、雑誌、ウェブ媒体などに「システミック・コーチング」の情報を露出する他、19万人の読者をもつコーチ・エィ発行のメールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」のコラム編集、広報誌発行、書籍出版企画などを行う。エグゼクティブコーチによる人気コラム「Coach's VIEW」の編集を、10年にわたり担当。コーチとしては、企業や医療、出版、教育などの分野で活躍するリーダー層にコーチングを行う。
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