段差でつまずき、階段で息切れ。夜更けにドカ食いし、体重計で後悔する。そんなあなたの体を変えるためには……。ポイントは「歯磨き」のように、トレーニングを「習慣化」することだ。多くの経営者が通う会員制ジムを経営する竹下雄真氏が、その“初めの一歩”を解説する。

肉体トレーニングはメンタル強化のため

現在、当ジムにはトップアスリートから芸能人、外資系企業のビジネスマン、大学教授などさまざまな職業、年齢の方がいらっしゃいます。体を鍛える目的は人それぞれですが、アスリートの場合は単純明快。パフォーマンスの向上が一番の理由です。当ジムで日々トレーニングを積むプロ野球・侍ジャパンのメンバーやサッカー日本代表の選手などは、その最たるものでしょう。多くの観衆が見守る中で、常に最大級のパフォーマンスを発揮する必要がありますから。

そのトップアスリートとビジネスマンは、頭と体をフル活用し、仕事の中で最大級の効果を発揮するという意味で、日々必要とされているものは近いと思います。実際、当ジムの会員の約半数を占めるのが経営者の方々です。

これまで、ビジネスマンが体を鍛えるきっかけは、ダイエットや健康維持、体力増進などフィジカルの強化や調整が中心。健康診断や人間ドックで気になる結果が出た、という人も多いです。

ただ、最近はメンタルを整えたり強化したりするために、トレーニングを取り入れようとする人が増えた気がします。

例えば、必要以上に飲み食いしてオーバーフローすると、肥満やメタボリックシンドロームへと一直線でしょう。「食べる」ことをコントロールするにはメンタル(心の持ちよう)が重要ですから、そこに問題がある人は改善が必要です。つまりメンタルが弱ければ、フィジカルにも問題が発生して段々弱っていく。逆に、フィジカルが弱ったからメンタルも落ちていくというケースもあります。うつ病の人が、実はフィジカルにも問題を抱えているというケースは珍しくありません。

近年、グーグルやアップルを筆頭に、シリコンバレーのIT企業が、続々とヨガなどのエクササイズを研修プログラムに取り入れています。フィジカルとメンタルの両面の鍛錬が、企業レベルでも実践されるようになったのです。

以前、アメリカのボーイング社に視察に行った際、会社ぐるみで取り組んでいるトレーニングの環境に驚かされたことがあります。シアトルの工場には、6カ所ほどフィットネスクラブが設置されていて、そこで社員たちが体を鍛えているのです。企業ぐるみという点では、日本はまだ少し遅れているかもしれませんね。

手を足に添えて息を吐きながらゆっくり上がる。反動で上がらずに、お腹を縮めるのを意識して、お腹の力だけで、ゆっくり。あまり起き上がる必要はない。