フォードはマツダをどうポジショニングしていたのか
【池田】フォードが目指していたマツダのポジションというのは、どういうものだったのでしょうか?
【前田】それがねぇ、わからないんですよ。全く提示はされなかったです。まあ、スポーティーで割とフレンドリーなイメージだったんじゃないですかね。おそらくですけど。あまり上級とかプレミアムな方向を向いているブランドじゃなかったと思います。
【池田】それはプジョーとかフィアットとかのイメージですかね?
【前田】そのあたりだったと思います。恐らくですけどね。そういう話をされたことは一切ないです。当時フォードが所有していたPAG(プレミアム・オートモビル・グループ)には、リンカーン、アストンマーチン、ジャガー、ランドローバー、ボルボとすごいブランドがたくさんあったんですが、そことは線が引かれている感じはありましたね。
【池田】そうですね。でも不思議なことにあの時フォードの傘下にいた会社は、今みんな幸せになっていますよね。GMの傘下にいたSAABが売却された上、2度も破産したことを考えると、いろいろ思うところがあります。
【前田】あはは(笑)。マツダでデザイントップを務めた2人、モーレイ・カラム(現フォード・デザインディレクター)もローレンス・ヴァン・デン・アッカー(現ルノー・デザイン担当副社長)も出世して、今は大きなデザイン部門のトップになっています。今のフォードの社長になったマーク・フィールズ(2017年5月にCEOを退任)もそうですが、会社だけでなく人も幸せになっているのかなぁと思いますね。