「大切なところに線を引きなさい!」と言っちゃダメ

最初は主人公の名前と登場人物の名前くらいは言えるかもしれないが、それ以外の質問に対してはしどろもどろになってしまうはず。そこでしかりつけてはいけない。イラっとするだろうが、そこは我慢だ。そして、それぞれの質問に対する回答を懇切丁寧に説明してあげよう。

ポイントは、次の章ではまた同じ質問を子にぶつけることだ。

根気よく何度も質問を繰り返すのだ。しばらくすると変化が現れるはずだ。毎回文章を読むごとに親から質問される内容が同じだと勘づいた子は、こんなふうに思い始める。

「きっとお母さん(お父さん)はまた同じ質問をしてくる。だから、主人公と登場人物の名前、そしてそれぞれの関係をしっかり覚え、また、主人公に起こった出来事と主人公の気持ちのいくつかをちゃんと考えなきゃ」

そんな意識が芽生えて文章を読むようになれば、しめたもの。徐々に、本当に徐々にではあるが、ひとつ、またひとつと質問に多く答えられるようになっていく。そして、ごく自然に、文章の隅から隅まで読み込むことができるようになる。途中からは質問も不要になるはずだ。

最後に心に残った部分だけマーカーを引く

そして最後に、子に心に残った登場人物のセリフをいくつか(2~3つ程度)選ばせ、そこにマーカーで線を引くように指示したい。

本を読み始める際に「大切だと思ったところに線を引きなさい!」なんてアドバイスする親は少なくないが、これでは逆にたくさん線を引きすぎてしまい、あとで振り返ったときに何が重要な部分か判別できない。よって、最後に心に残ったセリフにしぼってマーカーを引かせるくらいがちょうどいい。