子供の学力を伸ばすには、どうすればいいのか。少なくとも「勉強しろ」と怒ることは逆効果であるようだ。東京大学社会学研究所とベネッセ教育総合研究所による追跡調査によると、「勉強嫌い→勉強好き」に変わった子は、勉強が楽しくなる「きっかけ」をつかんでいる。うまくやれば、「東大進学」も決して夢ではない――。
なぜ、勉強嫌いな子が勉強好きに“豹変”するのか?
夏休みが終わり、子供たちはまた学校へ通い始めた。
リラックスモードから上手に勉強モードへシフトできればいいが、そうは問屋が卸さない。東京大学社会学研究所とベネッセ教育総合研究所が行った「子供の生活と学びに関する親子調査2015-2016」によれば、「勉強嫌い」の子は小学校、中学校、高校と年齢が高くなるごとに増えていく実態が明らかになっている。
とくに顕著なのが、小学生と中学生の差である。「勉強が好き」と答えているのは、小学生(4~6年生)では64.8%だが、中学生では45.3%。20ポイントもダウンしている(つまり、中高生の半数以上が「勉強嫌い」)。勉強内容が難しくなるにつれて、「嫌い」派が増えてきているようだ(グラフ1参照)。
わが子に自分の将来を考え勉学に励んでほしい親としては何とも頭の痛い話だが、いい話もある。この調査では同じ親子を2年間追跡することで希望の光も見えたという。
1割の子供は勉強が「嫌い→好き」へ
それは、1年前は勉強嫌いだったのに、翌年、勉強好きに変わった子が一定数いたということだ。同調査によれば、その「嫌い→好き」組はどの学年でも「1割前後」は存在していた。ズルズルと雪崩のように勉強嫌いな子が増えていくだけではなかったのだ。
調査に携わったベネッセ教育研究所の橋本尚美研究員は、次のように語る。
「その子たちはただ勉強好きになっただけでなく、学習時間が延びて、成績も上がっています。しっかり学習成果に結びついているんです。さらに追跡調査によって勉強好きになった子やその家庭の特徴がわかってきました」