分別があっていいはずの中高年にキレる人が増えている。その原因として何が考えられるのか? 急ピッチで研究が進められている脳科学分野から、怒りのメカニズムと、それを静める方策を解明する。

あなたのアタマの中では何が起きているのか?

まず、グラフ(図1)を見ていただきたい。警察庁の調べによると、2013年の暴行検挙者数は、なんと40~49歳が最も多いのだ。04年と13年を比べた伸び率も40~49歳は高い。帰宅途中の電車内で押されたとか、肩がぶつかったとかでほかの乗客と揉め事を起こしたり、電車の遅延に対して駅員に詰め寄ったり……。そんな中高年の醜態が目立つのは、決して気のせいではない。

(図1)爆発的に増えたキレる中高年 出所:警察庁「平成25年の犯罪情勢」より暴行の年齢別検挙人員(図2)前頭前野の活動低下で扁桃体が怒りを爆発 ※取材などをもとに編集部で作成

では、分別のあるはずのいい大人が、なぜキレてしまうのだろう。それを解くカギの一つが脳のメカニズムにあって、「怒りに密接に関わるのが、脳の中心部にある大脳辺縁系の中の扁桃体です」と精神科医の西多昌規氏は説明する(図2参照)。