相手があまりに激昂するときは、ひたすら発言をメモするのが効果的。記録化されることで、相手は後で発言を追及される不安を抱き、確実にブレーキになる。
怒っているときは聞く耳を持てなくても、一旦感情を発散させた後、人は理性的になるもの。敵から仲間へ関係を修正するチャンスだ。「仲間意識を育む方法のひとつが、共通の敵をつくること。敵といっても実在の人物である必要はありません。ルールや前例をあげて、『このせいで解決しないんですよ。でも頑張りましょう!』と語っていると、“一緒に戦っている”感が高まります」。
連帯感が芽生えた後は、共同作業を行うといい。「解決すべき点をまとめよう」と提案して、片方がノートを広げて、もう片方が書く。問題を持ち帰って考えることにして、再び擦り合わせる。そんな簡単な作業だけでも、思いのほか距離は縮まるという。
こうした手段を駆使し、思惑通り話し合いが着地しても、最後まで気を緩めてはいけない。「こっちの言い分が正しかったでしょ?」といった捨て台詞で、相手に敗北感を与えると、後々、話がこじれる可能性があるからだ。
「最後に負けたフリをするのも大事ですね。『こんな厳しい案件はなかったです』『ここまでしっかりした人は初めてでした』と自分も傷を負ったような発言をして、向こうの自尊心を満たしてあげる。そうすれば相手も気分よく終わるから、握手で別れられます」
交渉テク
・相手を怒らせて本音を引き出す
・共通の敵をつくり、仲間意識を育む
・相手を怒らせて本音を引き出す
・共通の敵をつくり、仲間意識を育む
(撮影=市来朋久)